git-daemon を使用すると、特定の共有リポジトリを読み取り専用で簡単に公開できます。
読み取り専用というのは、git clone
、git fetch
、git pull
はできるけど、git push
はできないことを意味します。
例として、/var/git
以下に次のようなリポジトリが作成済みであるとします。
/var/git/repo1.git
/var/git/repo2.git
これらのリポジトリを全て公開するには、以下のように git-daemon を起動します。 リポジトリの格納されているディレクトリのパスは、絶対パスで指定する必要があります。 当然ですが、git-daemon を起動するプロセスは、公開するリポジトリへのアクセス権限を持っている必要があります。
$ git daemon --export-all /var/git
これにより、git-daemon はポート番号 9418 (DEFAULT_GIT_PORT
) での待ち受けを開始し、各クライアントから git clone
できるようになります。
$ git clone git://192.168.0.1/var/git/repo1.git
(参考)git-daemon のヘルプは以下のように確認できます。
$ man git-daemon
$ git help daemon
git-daemon を起動する際に、--base-path
オプションを指定しておくと、git clone
に使用する URL のパスから、指定した部分のプレフィックスを除くことができます。
$ git daemon --export-all --base-path=/var/git /var/git
これによって、/var/git/repo1.git
にあるリポジトリに以下のようにアクセスできるようになります。
clone URL から、/var/git
というプレフィックスを省略することができています。
$ git clone git://192.168.0.1/repo1.git
git daemon
を起動するときに、--export-all
オプションを指定すると、指定したディレクトリ以下のリポジトリをすべて公開しますが、指定したリポジトリのみを git-daemon の公開対象にすることもできます。
公開したいリポジトリのルートに、git-daemon-export-ok
というファイルを作成することで、git-daemon による公開対象であることを示します。
$ > /var/git/repo1.git/git-daemon-export-ok # 空っぽのファイルを作成
$ git daemon --base-path=/var/git /var/git
こうすると、repo1.git
は clone できるけど、repo2.git
は clone できない状態になります。
$ git clone git://192.168.0.1/repo1.git #==> OK
$ git clone git://192.168.0.1/repo1.git #==> NG (not exported)