Java 1.5 (Tiger) で、java.util.concurrent.Executor
インタフェースが追加されました。
Executor
は下記のような単純なインタフェースを提供し、与えられたタスクをキューイングし、何らかのタイミングで実行していきます。
void execute(Runnable command)
Executor
はこのインタフェースにより、渡されたタスクが内部的にどのように並列処理されるかを隠蔽します。
例えば、複数のスレッドプールを保持する Executor
インスタンスを使えば、渡したタスクは複数のスレッドで処理されていきます。
一般的によく使いそうな Executor
の実装は、Executors
クラスのファクトリメソッドにより生成することができます(ファクトリクラスは Executor
ではなく Executors
であることに注意)。たとえば、次のようなファクトリメソッドが用意されており、同時実行するスレッドの数や、タスクの実行タイミングなどの要件により、どのタイプの Executor
オブジェクトを生成するかを決めます。
Executors.newSingleThreadExecutor()
– 1 つのスレッドでタスクを 1 つずつ処理する。Executors.newFixedThreadPool(int size)
– 指定された数のスレッドでタスクを並列処理する。Executors.newCachedThreadPool()
– キュー内のタスクを処理するのに必要な数だけスレッドを生成する。スレッドは再利用される。Executors.newScheduledThreadPool()
– 指定したスケジュールでタスクを処理する(一定時間ごとに処理するなど)。Executors.newSingleThreadScheduledExecutor()
– 同上。前の 3 つは、ExecutorService
インタフェース、後ろの 2 つは ScheduledExecutorService
インタフェースを実装したオブジェクトを返します。
ExecutorService
は Executor
のサブインタフェース、ScheduledExecutorService
は ExecutorService
のサブインタフェースです。
インタフェースの継承関係を簡単に描くと下記のような感じです。
Executor <== ExecutorService <== ScheduledExecutorService
下記のサンプルでは、スレッドを内部で 2 つ保持する Executor
を作成し (Executors.newFixedThreadPool(2)
)、3 つのタスクを同時に実行要求 (execute
) しています。
import java.util.concurrent.Executor;
import java.util.concurrent.Executors;
import java.util.concurrent.TimeUnit;
class MyTask implements Runnable {
private final String name;
public MyTask(String name) {
this.name = name;
}
@Override
public void run() {
for (int i = 0; i < 3; ++i) {
System.out.println(name);
try {
TimeUnit.SECONDS.sleep(1);
} catch (InterruptedException e) {
System.out.println(this.name + " is interrupted");
return;
}
}
}
}
public class Main {
public static void main(String[] args) {
Executor executor = Executors.newFixedThreadPool(2);
executor.execute(new MyTask("task1"));
executor.execute(new MyTask("task2"));
executor.execute(new MyTask("task3"));
}
}
最初にタスクキューに MyTask
が 3 つ全て入りますが、内部のスレッドは 2 つだけなので、以下のように、最初に 2 つのタスクが同時実行されます。スレッドに空きができ次第、3 つ目のタスクが開始されます。
task1
task2
task1
task2
task1
task2
task3
task3
task3