Docker のコンテナイメージを作成する (docker image build, docker container commit)

2 つのイメージ作成方法

Docker イメージの作成方法には、大きく下記の 2 つの方法があります。

  1. Dockerfile にイメージの作成手順を記載しておき、docker image build で作成
  2. OS イメージをインタラクティブモードで起動し、各種設定を行った後に docker container commit で作成

再現性、ポータビリティといった観点から、Dockerfile を扱うアプローチが推奨されています。

docker image build アプローチ

Dockerfile という、Docker イメージ作成のための手順書を作成しておくと、docker image build(あるいは docker build)コマンドを使って自動的にイメージを作成することができます。 下記は、Debian のイメージをベースにして、Python 3 をインストールしたイメージを作成する場合の Dockerfile の例です。

Dockerfile
# Debian (Wheezy) のイメージをベースにする
FROM debian:wheezy

# コンテナ構築のためのコマンド実行
RUN apt-get -qq update && apt-get -y install python3

この Dockerfile を元に Docker イメージを作成するには、下記のように docker image build を実行します。

コンテナイメージのビルド
$ docker image build -t <イメージ名> <Dockerfileのあるディレクトリ>

-t の後ろに指定するイメージ名は <user>/<repo>:<tag> という構成で指定します。 末尾のタグ名 (:<tag>) を省略すると、自動的に latest というタグが付けられます。 カレントディレクトリに Dockerfile ファイルがある場合は次のような感じでイメージをビルドします。

$ docker build -t maku77/python3:v1 .

debian:wheezy のイメージファイルが既に docker pull コマンドなどでローカルにキャッシュされている場合は、そのイメージが利用されるため、イメージ構築はより早く終わります。 docker image ls(あるいは docker images)コマンドで、作成された Docker イメージを確認することができます。

$ docker image ls
REPOSITORY       TAG      IMAGE ID       CREATED         VIRTUAL SIZE
maku77/python3   v1       c3d5556730a9   4 minutes ago   93.88 MB
debian           wheezy   d5570ef1464a   4 days ago      84.98 MB
...

作成された Docker イメージ (maku77/python3:v1) からコンテナを起動し、python3 コマンドを実行してみます。

$ docker container run -it maku77/python3:v1 python3
Python 3.2.3 (default, Feb 20 2013, 14:44:27)
[GCC 4.7.2] on linux2
Type "help", "copyright", "credits" or "license" for more information.
>>>

(おまけ)GitHub 上の Dockerfile からイメージを作成する

docker image build コマンドで Dockerfile のあるディレクトリを指定するときに、GitHub のリポジトリを指定することができます。

$ docker mage build -t maku77/sample:v1 git@github.com:maku77/sample

docker container commit アプローチ

docker container commit(あるいは docker commit)コマンドによるアプローチでは、Docker のコンテナイメージをインタラクティブに作成していくことができます。 コンテナ上でソフトウェアのインストールなどを行い、最後に docker container commit コマンドを実行することにより、コンテナイメージを作成します。 まずは、ベースとなるイメージを指定して Docker コンテナを起動します。

$ docker container run -it ubuntu:14.04 /bin/bash

コンテナ上の bash プロンプトが表示されたら、その中で apt-get やファイルの作成などを行い、コンテナイメージの構築作業を進めていきます。 下記の例では、Hello と表示するだけのシェルスクリプト (/greet) を作成しています。

root@c338a2f4c60e:/# cat > greet
#!/bin/bash
echo Hello
(ここで Ctrl-D で終了)

root@c338a2f4c60e:/# chmod +x greet
root@c338a2f4c60e:/# exit

起動元のシェルに戻ってきたら、docker ps コマンドで、最新のコンテナ ID(あるいは名前)を確認します。

$ docker ps -a
CONTAINER ID  IMAGE         COMMAND    CREATED        STATUS                         PORTS  NAMES
c338a2f4c60e  ubuntu:14.04  /bin/bash  3 minutes ago  Exited (0) About a minute ago         loving_torvalds

これで、先ほどインタラクティブに構成した Docker コンテナの ID が c338a2、名前が loving_torvalds だということが分かるので、docker container commit コマンドを実行して、コンテナからイメージを生成します。 docker container commit コマンドのフォーマットは下記のようになっています。

docker container commit -a <作者> -c <コメント> <コンテナ> <リポジトリ名>:<タグ名>

<コンテナ> には、docker ps コマンドで確認したコンテナ ID か名前を指定します。 リポジトリ名は、Docker Hub の流儀に合わせて、<アカウント名>/<イメージ名> という形で指定します。 例えば、Docker Hub アカウントが maku77 で、sample という名前のイメージを作成する場合は次のようにします。

$ docker commit -a 'Maku <maku77@example.com>' -m 'First commit' c338a2 maku77/sample:v1
8a6608d7d353d966f5cdc044b48b89158943c2dc9fd08b7a4832b43a21b5df41

コンテナイメージの作成に成功すると、上記のように作成されたイメージの ID が表示されます。 docker image ls コマンドで、実際に新しくイメージが作成されたことを確認できます。

$ docker image ls
REPOSITORY      TAG     IMAGE ID       CREATED         VIRTUAL SIZE
maku77/sample   v1      8a6608d7d353   7 minutes ago   188.3 MB
ubuntu          14.04   2103b00b3fdf   43 hours ago    188.3 MB
...

この Docker イメージを使って、先ほど作成した /greet コマンドを実行してみます。

$ docker container run maku77/sample:v1 /greet
Hello