何をするか?
ここでは、Go 言語の HelloWorld として、go-hello というコマンドを作って、GitHub で公開できるようにしてみます。
この手順が完了すると、世界中のユーザーが次のように go-hello コマンドをインストールできるようになります。
$ go install github.com/<User>/go-hello@latest
go-hello プロジェクトの作成
まず、適当なディレクトリにプロジェクト用のディレクトリを作成します。
$ mkdir -p ~/go-hello
$ cd ~/go-hello
go mod コマンドで、プロジェクトのルートディレクトリに go.mod ファイルを作成します。
引数として、モジュール名(モジュールパス)を指定します。
GitHub で公開するのであれば次のような感じで指定します(maku77 の部分は自分の GitHub ユーザー ID に変更してください)。
$ go mod init github.com/maku77/go-hello
module github.com/maku77/go-hello
go 1.18Go は、go.mod ファイルのあるディレクトリをモジュールルートとみなします。
go-hello コマンドの実装
実装
Go 言語では実行可能なコマンドは main パッケージの main 関数として実装します。
ファイル名は何でもよいのですが、ここでは main.go として作成します。
package main
import "fmt"
func main() {
fmt.Println("Hello, world!")
}動作確認
この Hello World プログラムは、go run コマンドでファイル名かディレクトリパスを指定して直接実行できます。
$ go run .
Hello, world!
go build コマンドを実行すれば、実行ファイル (go-hello) を生成することができます。
実行ファイル名は go mod init で指定したモジュール名にしたがって自動的につけられますが、-o オプションで明示することもできます。
$ go build
$ ./go-hello
Hello, world!
go install コマンドを使うと、go-hello 実行ファイルが $GOPATH/bin(あるいは $GOBIN で指定したディレクトリ)にインストールされます(あらかじめ go build しておく必要はありません)。
Go 用の PATH 環境変数を設定 してあれば、どのディレクトリからでもインストールした go-hello コマンドを実行できるようになります。
$ go install
$ go-hello
Hello, world!
インストールしたコマンドが不要になった場合は、次のように単純に実行ファイルを削除すれば OK です。
$ rm `go env GOPATH`/bin/go-hello
# GOBIN 環境変数を設定済みであれば下記でも OK
$ rm `go env GOBIN`/go-hello
GitHub で go-hello モジュールを公開する
作成した Go モジュールを GitHub で公開します。
リポジトリの作成
まず、モジュール名に合わせて、GitHub にリポジトリを作成 します。
ここでは、<User>/go-hello という名前で作成します。
README.md と Go 言語用の .gitignore を自動生成しておくと便利です。
コミット&プッシュ
リポジトリを作成したら、適当な作業用ディレクトリに git clone します。
$ cd ~/gitwork
$ git clone https://github.com/<User>/go-hello
$ cd ~/gitwork/go-hello
前のステップで作成した go.mod や main.go ファイルをこのディレクトリにコピーしてコミット、プッシュします。
これで、GitHub への公開は完了です。
$ git add .
$ git commit -m "Add main function"
$ git push
GitHub からコマンドをインストールしてみる
GitHub への Go モジュールのデプロイが完了したら、GitHub から直接 go install してみます。
この際、取得するコードのバージョンをサフィックスとして指定する必要があります。
これは想定外のコードを使わないようにするための安全策です。
最新コードを信用してよいのであれば、次のように @latest を指定してインストールします。
$ go install github.com/maku77/go-hello@latest
もう少しお行儀よくやるには、GitHub のコードにバージョンタグを付けておき、次のようにバージョンを指定してインストールします。
$ go install github.com/maku77/go-hello@v1.0.0
下記のように実行ファイルができていれば、うまくインストールできています。
$ ls `go env GOPATH`/bin
go-hello
$ go-hello
Hello, world!
複数のコマンドを提供する
前述の例では、モジュール名を github.com/maku77/go-hello として、go-hello という名前のコマンド作成しました。
1 つのモジュールで複数のコマンドを提供したい場合は、コマンドごとにディレクトリを作成して、その中にそれぞれの main パッケージを構成します。
典型的なディレクトリ構成 としては、cmd ディレクトリを作って、その中にコマンド名と同名のディレクトリを作成します。
例えば、go-hello モジュール内に hello1 コマンドと hello2 コマンドを作成するには次のようなディレクトリ構成にします。
go-hello/
+- go.mod
+- cmd/
+- hello1/main.go (hello1 コマンド用の main パッケージ)
+- hello2/main.go (hello2 コマンド用の main パッケージ)
package main
import "fmt"
func main() {
fmt.Println("Hello 1")
}package main
import "fmt"
func main() {
fmt.Println("Hello 2")
}各コマンド用のディレクトリを go run で指定すれば実行できます。
ディレクトリ名は ./ で始まる相対パスで指定することに注意してください。
$ go run ./cmd/hello1
Hello1
$ go run ./cmd/hello2
Hello2
go run の代わりに go install を使えば、システムにコマンドをインストールできます。
$ go install ./cmd/hello1
$ go install ./cmd/hello2
# 次のようにまとめてインストールすることも可能です
$ go install ./...
これらのコードを GitHub にプッシュして公開すれば、世界中の人が次のように簡単にコマンドをインストールできるようになります。
$ go install github.com/maku77/go-hello/cmd/hello1@v1.0.0
$ go install github.com/maku77/go-hello/cmd/hello2@v1.0.0
# あるいは次のようにまとめてインストール
$ go install github.com/maku77/go-hello/cmd/...@v1.0.0