まくまくPythonノート
Docstring でドキュメンテーションコメントを記述する
2019-06-04

Docstring とは?

Python のコードに docstring フォーマットでコメントを記述しておくと、いろいろなツールから API ドキュメントとして参照できるようになります。 例えば、Python 用の統合開発環境 (IDE) におけるコード補完時に、ヒントとして関数の使用方法が表示されます。

下記は PEP 257 – Docstring Conventions に記述されている docstring の書き方の例です。

def complex(real=0.0, imag=0.0):
    """Form a complex number.

    Keyword arguments:
    real -- the real part (default 0.0)
    imag -- the imaginary part (default 0.0)
    """
    if imag == 0.0 and real == 0.0:
        return complex_zero
    ...

docstring はこのように 3 つのクォート (""") で囲んで記述します。 docstring コメントは関数の内部に記述するところがポイントです。 このあたりは、関数の外側にドキュメンテーションコメントを記述する Java や C# などとは異なっています。

Docstring の書き方

  • """ で始まり """ で終わる。
  • 一行目はサマリであり、ピリオドで終わるフレーズで記述する。
  • 一行目は """ と同じ行に記述してもよいし、改行してから記述してもよい。
  • 最後の """ は行末に書いてもよいし、単独の行に書いてもよい。
  • 一行だけで記述する場合は、"""Form a comlex number.""" のように、開始クォートと終了クォートを同じ行に記述してもよい。
  • 一行当たり 72 文字以内で記述する。
  • r""" で始めると Raw docstring となり、バックスラッシュを含めることができる。
  • サマリは命令形で記述する。動詞で始め、三単現の s は付けない(例: “Return …“)。これは、Javadoc が三単現の s を付けるのを慣例しているのとは対照的。
  • 詳細なコメントを記述する場合は、一行目にサマリ、二行目は空行、三行目以降に詳細コメントを記述する。この場合も一行目のサマリは、""" と同じ行に記述してよい。
  • パッケージのドキュメントは __init__.py に書く。自分が export するモジュールやサブパッケージをリスト化し、それぞれ一行のサマリを記述する。

Docstring の記述例

os モジュールの例

def normcase(s):
    """Normalize case of pathname.

    Makes all characters lowercase and all slashes into backslashes."""

urllib.request モジュールの例

def _open_generic_http(self, connection_factory, url, data):
    """Make an HTTP connection using connection_class.

    This is an internal method that should be called from
    open_http() or open_https().

    Arguments:
    - connection_factory should take a host name and return an
      HTTPConnection instance.
    - url is the url to retrieval or a host, relative-path pair.
    - data is payload for a POST request or None.
    """

json モジュールの例

def load(fp, *, cls=None, object_hook=None, parse_float=None,
        parse_int=None, parse_constant=None, object_pairs_hook=None, **kw):
    """Deserialize ``fp`` (a ``.read()``-supporting file-like object containing
    a JSON document) to a Python object.

    ``object_hook`` is an optional function that will be called with the
    result of any object literal decode (a ``dict``). The return value of
    ``object_hook`` will be used instead of the ``dict``. This feature
    can be used to implement custom decoders (e.g. JSON-RPC class hinting).

    ``object_pairs_hook`` is an optional function that will be called with the
    result of any object literal decoded with an ordered list of pairs.  The
    return value of ``object_pairs_hook`` will be used instead of the ``dict``.
    This feature can be used to implement custom decoders.  If ``object_hook``
    is also defined, the ``object_pairs_hook`` takes priority.

    To use a custom ``JSONDecoder`` subclass, specify it with the ``cls``
    kwarg; otherwise ``JSONDecoder`` is used.
    """

Docstring はなぜ 72 文字までなのか?

PEP 8 – Style Guide for Python Code では、docstring コメントは一行あたり 72 文字まで にすることを推奨しています。

For flowing long blocks of text with fewer structural restrictions (docstrings or comments), the line length should be limited to 72 characters. …

The Python standard library is conservative and requires limiting lines to 79 characters (and docstrings/comments to 72).

72 文字という数字は、パンチカードの印刷幅から来ているという説や、ツールでの出力を考慮しているという説などがあります。 現実的にはツールの出力を考慮しているのだと考えるのが自然でしょう。 例えば、Python 付属の pydoc コマンドで、main.py 内のドキュメンテーションコメントを表示すると下記のように表示されます。

$ pydoc main
Help on module main:

NAME
    main

FUNCTIONS
    complex(real=0.0, imag=0.0)
        Form a complex number.

        Keyword arguments:
        real -- the real part (default 0.0)
        imag -- the imaginary part (default 0.0)

FILE
    /User/maku/main.py

関数のドキュメンテーション部分には 8 文字分のインデントが入っています。 よって、ドキュメンテーションコメント自体は 72 文字に収めておかないと、合計で 80 文字を超えることになってしまいます。

2019-06-04