Chapter 1 -- Universal Service

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ユニバーサルサービス(universal sevice)

 異なる目的で使用するネットワークには、異なるネットワーク技術を 用いることで、ネットワークの最適化を実現している。 ただ、この考え方には欠点がある。 今、異なるネットワーク技術(A)とネットワーク技術(B)があったとする。 ネットワーク(A)に接続された端末からは、(B)のネットワークを利用することができない。 なぜなら、異なるネットワーク技術は、互換性のないパケット形式(packet format)、 アドレス付け形式(addressing scheme)、ハードウェア等を用いているからである。


目的の違うネットワークを利用するために
ユーザが端末間を移動する必要がある

ユニバーサルサービスの必要性

 つまり、ユーザがネットワーク(A)のコンピュータを使用している時に、 ネットワーク(B)を使用したくなった時は、 ユーザ自身がネットワーク(B)の端末まで移動しなければならない。 この問題を解決し、どのネットワークに接続されたコンピュータからも 任意のネットワークを利用できるようにしたものが、ユニバーサルサービスの概念である。
 その結果として、インターネットワーキング(internetworking)と呼ばれる方式が考案された。 これによって構成された物理ネットワークシステムをインターネットワーク(internetwork)という。


ルータによるネットワーク接続

 異種のネットワーク同士を接続するにはルータ(router)を使うことになる(ブリッジではない)。 ルータは各コネクション用に個別のインターフェイスを持つ、特化用途のコンピュータである。 ルータを用いて各LAN、WANを相互接続(interconnect)することによって、1つのインターネットワークを構成する。

 1つのルータを用いて組織のネットワーク全てを接続することは稀である。なぜなら、

  1. 1つのルータで接続した場合には、全てのトラフィックがそのルータに集中してしまい、負荷が大きい。
  2. 冗長性を持たせることによって、あるルータが故障したときに、別のルートを利用することが出来る。

からである。つまり、ある組織でネットワークを構築するときには、

ニーズやコストにあった構成をする

ことが重要である。


インターネットワークプロトコル

 ルータは、送られてきたデータをフォワード(forward)するために、 異なるフレーム形式、アドレス付け方式のデータを処理するためのソフトウェアが必要である。 (→インターネットワーキングに最も広く使用されるProtocol suiteがTCP/IP Internet Protocolsであり、 現在のグローバルインターネットにも利用されている) つまり、ユニバーサルサービスを実現するためには、 コンピュータとルータ上にプロトコルソフトウェアが必要になる。

 また、コンピュータは他のコンピュータと通信する際に、ルータの存在を意識する必要がない。 →仮想ネットワーク(virtual network)システム


TCP/IP階層化モデル(TCP/IP layering model)

 OSI参照モデルとTCP/IP階層化モデルを比べてみる。

OSITCP/IP
Application Layerアプリケーション層(応用層)
Presentation Layer
Session Layer 
Transport Layerトランスポート層
Network Layerインターネットワーク層(ネットワーク層)
Data Link Layerネットワークインターフェイス層
Physical Layer物理層

 コンピュータシステムが、 大規模タイムシェアリングシステムから個人ワークステーションに移行するに従って、 セッション層の重要性が薄れてきた。

 TCP/IPではインターネットに接続してアプリケーションを実行するコンピュータを ホストコンピュータ(host computer)と定義している。 ホストとルータにTCP/IPプロトコルソフトウェアが必要であるが、ルータ側でファイル転送ソフトを 実行することはないので、ルータには第5階層(アプリケーション層)は不要である。


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